甘夏
2009年1月18日 本当の犬の話をしよう コメント (3)アマナツってなんですか?
僕は外岡さんに聞いてみた。
外岡さんは少し前まではすどうさんだった。
「ソ連のさゆーすっていうロケットをね、私が甘夏ってよんでいるのよ」
少し前まですどうさんだった外岡さんが答える。
僕は以前のようにうまく言葉が出てこない。
なしてなん・・・
「え?」
外岡さんが須藤さんの顔で僕を少し覗き込む。
「えへへ・・・」
僕は苦笑いのような照れ笑いをした。
外岡さんは新品のレコードを高い棚に突っ込むために背伸びをした。
「さゆーすがね、宇宙旅行する人を募集しているのよ。
だからいつかね、いつかというかできればこういう・・・」
そこでくるっとこっちを向いた。
「こういう殺されそうな暑さの日に私を乗せてくれないかなあって思っていたのよ」
・・・ああ
僕は乾いた相槌を打った。
ドアの向こうは直射日光がまぶしくキツイ別の世界。
ここは冷房のよく利いた暗くて狭いレコードを売るお店。
それで・・・須藤さんはいつか外岡さんにその夢を叶えてもらえそうなんですか?
その質問を頭の中ではっきりと作り上げる前に、僕は質問すること自体をあきらめていた。
すどうさんのことを以前のように「すどうさん」とも「外岡さん」とも呼べなくなっているのに僕は気づく。
結局いまだにこの人の正確な年齢も知らない。
「オレ、夏期講あるからじゃあね」
と逃げるように外に出た。
ああ、アマナツって甘い夏の夢ってことね
と僕は気づく。
さようなら、甘夏さん
彼女はドアの向こうでニッと笑うとカウンターに引っこんでいった。
soyuz
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/3/36/Soyuz-TMA_parts.jpg
僕は外岡さんに聞いてみた。
外岡さんは少し前まではすどうさんだった。
「ソ連のさゆーすっていうロケットをね、私が甘夏ってよんでいるのよ」
少し前まですどうさんだった外岡さんが答える。
僕は以前のようにうまく言葉が出てこない。
なしてなん・・・
「え?」
外岡さんが須藤さんの顔で僕を少し覗き込む。
「えへへ・・・」
僕は苦笑いのような照れ笑いをした。
外岡さんは新品のレコードを高い棚に突っ込むために背伸びをした。
「さゆーすがね、宇宙旅行する人を募集しているのよ。
だからいつかね、いつかというかできればこういう・・・」
そこでくるっとこっちを向いた。
「こういう殺されそうな暑さの日に私を乗せてくれないかなあって思っていたのよ」
・・・ああ
僕は乾いた相槌を打った。
ドアの向こうは直射日光がまぶしくキツイ別の世界。
ここは冷房のよく利いた暗くて狭いレコードを売るお店。
それで・・・須藤さんはいつか外岡さんにその夢を叶えてもらえそうなんですか?
その質問を頭の中ではっきりと作り上げる前に、僕は質問すること自体をあきらめていた。
すどうさんのことを以前のように「すどうさん」とも「外岡さん」とも呼べなくなっているのに僕は気づく。
結局いまだにこの人の正確な年齢も知らない。
「オレ、夏期講あるからじゃあね」
と逃げるように外に出た。
ああ、アマナツって甘い夏の夢ってことね
と僕は気づく。
さようなら、甘夏さん
彼女はドアの向こうでニッと笑うとカウンターに引っこんでいった。
soyuz
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/3/36/Soyuz-TMA_parts.jpg
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